世の中には、メンタルヘルスを謳う本が沢山ある。それらの多くは、読み手が、必要な所だけを、自分のものとする事で、有用なものが多い。コンビ二に駆け込んで、読んでみた一冊が、心に響くものも多い。しかし、その本は、いずれタイトルすら忘れる時が来る。それは、数百ページの内、数行だけが心に響いた為、読んだときには、納得するが、その本をバイブルの様に、後生大事に持っている事がないからである。言ってみれば、今まで、読み語られてきた本(忘れられない本)には、人生のエッセンスが詰まっているという事だ。以下には、私がメンタルヘルスに役立つと言う本を厳選した。
「武士道」
言われず知れた、新渡戸稲造の世界に誇る著書である。武士道の根源は、孔子思想に基づくが、日本独自のものとして、完全に昇華した芸術品である。日本人として、いかに生きるべきかが、日本の伝統と歴史に基づき、記されている。さて、武士道は、行け行けドンドンの時は、心に強く、日本人としての誇りを感じさせてくれるが、一方で、先進国で最悪の自殺率を生み出してきた日本の風土も言い表しており、これら、しがらみに捉われる事なく、生きる為にも、一読をお勧めする。グローバル社会では、自らの歴史、誇りを基盤としつつも、新しい歴史への挑戦が常に必要である事を忘れてはいけない。
「代表的日本人」
武士道と並んで、日本人気質が良く分かる一冊である。この本には、4人の代表的日本人が登場するが、「日本人とはいかにあるべきか」が書かれている。武士道と同じく、日本人としての誇りを感じさせてくれる反面、自殺社会を生んだ日本人気質(血統や家系)を考えさせられる一冊である。登場人物は、皆、綺麗で美しい生き方をしているが、人間とは、もっとどす黒いものを含有しているものではないかと思うのである。日本人としての誇りは持ちつつ、既成概念には、常に疑問を持ち続ける事が大切である。
「声に出して読みたい論語」
この本は、読み続けられているかどうかは疑問であるが、論語について、分かりやすく読み解いている点で、「論語」を学ぶ基本書として有用である。孔子の思想は、現在にも通用する完成された哲学である。しかし、自分本位が批判される中、他人中心に疲れた人は、思いっきり、自分本位に生きてみるのが良い。そうやって、自分を再確認できたならば、他人の事を考える余裕がでてくるのであるから。